大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和37年(特わ)857号 判決 1963年10月25日

被告人 マツクス・シヨーテン

西暦一九一八・一〇・七生 会社員

主文

被告人を懲役三月及び罰金一〇万円に処する。

但し本裁判確定の日より一年間右懲役刑の執行を猶予する。

被告人が右罰金を完納することが出来ないときは金二千円を一日に換算した期間労役場に留置する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

昭和三七年一一月一五日附及び同年同月二九日附各起訴状記載の公訴事実と同一であるからこれを引用する。(但し二九日附起訴状摘示三千三百六十四弗を千七百七十四弗と訂正する。)

証拠の標目(略)

法律の適用

外国為替及び外国貿易管理法四五条、七〇条一八号、二一条、七〇条二一号、外国為替管理令三条、外国為替等集中規則三条

刑法五四条一項前段、一〇条、四五条前段、四七条本文、四八条二項、二五条一項、一八条

二九日附起訴状摘示の米国通貨中一五九〇弗については、これを認めるに足る証拠がなく、前顕証拠によると、右米弗は被告人が昭和三七年一〇月一六日以降入手し保管中同年同月二六日午前捜査官憲に押収されたものであつて、右押収時は期間の計算上法令所定の十日以内に属するものというべく(民法一三八条、一四〇条、外国為替等集中規則三条参照)、本件において法定の期間内に法定の機関に売却しない意思の下に集中義務の履行と相い容れない処分行為をしたと認めるべき証拠もないのであるから本件犯罪は成り立たないものといわねばならない(昭和三五年(あ)第七〇四号同三七年一〇月三〇日最高裁判決参照)

しかし右は一罪として起訴された事実の一部であるから主文では無罪の言渡をしない。

(裁判官 高橋幹男)

昭和三七年一一月一五日附起訴状記載公訴事実

被告人は東京都千代田区丸ノ内一丁目二番地住友ビル内に事務所を置いて真珠の輸出業等を営むアイペクジヤン・インコーポレイテツドの東京事務所支配人をしている居住者であるが、法定の除外事由がないのに昭和三七年七月一六日頃右アイペクジヤン・インコーポレイテツド事務所において居住者であるサミユエル・ラザーソンから同人に売却した真珠の代金とし支払場所ニユーヨーク市所在フアーストナシヨナルシテイバンク、振出人サミユエル・ラザーソン、額面三千弗の小切手一通を受領し、その頃東京都内からニユーヨーク市のチエスマンハツタン銀行ブルツクリン支店に宛ててこれを郵送し、以て対外支払手段を法定の期間内に外国為替公認銀行に売却せず輸出したものである。

昭和三八年一一月二九日附起訴状記載公訴事実

被告人は東京都千代田区丸の内一丁目二番地住友ビル内に事務所を置き真珠の輸出業等を営むアイペクジヤン・インコーポレイテツドの東京事務所支配人をしている居住者であるが、法定の除外事由がないのに、昭和三七年一〇月二六日右アイペクジヤン・インコーポレイテツド東京事務所においてかねて入手の米国通貨三千三百六十四弗を所持し、以て法定の期間内に対外支払手段を外国為替公認銀行に売却しなかつたものである。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例